京都産業大学総合生命科学部動物生命医科学科 松夲ラボ Matsumoto's Lab. Faculty of Life Sciences, Kyoto Sangyo University |
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page 1 よく、肥満は糖尿病の大敵のようにいわれていますね。なぜでしょう。その理由は過去数十年の糖尿病患者における肥満と糖尿病の強い相関関係の統計データからきています。肥満は他の病気の発症原因にもなりますが、とりわけ糖尿病発症は抜きん出て高かったのです。どんな具合かというと下図のようになったのです。これで見ると、肥満になると10倍以上の高い確率で糖尿病を誘発していることになります。あくまで欧米人のケースで日本人には当てはまりません。日本人は肥満にもっと弱いと考えられているからです。日本人の場合は一見、痩せ形のヒトでも2型糖尿病を発症しますが、その多くは内蔵脂肪、あるいは筋肉脂肪を蓄積しているケースが多いと考えられています。日本人は欧米人に比べるとわずかの肥満でも、膵臓の機能である、血糖値を下げるインスリン分泌能が低下しやすいと考えられています。 ヒトの2型糖尿病は家族性であることが知られており、遺伝因子がその発症に強く影響しています。しかし、ここ十年あまりで2型糖尿病患者が急増していることから、その背景に肥満の急増があり、その環境因子の影響が非常に大きいことも分かってきました。しかし、ではなぜ肥満になると、2型糖尿病になりやすくなるのでしょう。結論から先に言うと、やはり糖尿病発症に関与する遺伝因子の一部を持っているためなのです。それも、肥満に伴い血糖値を特異的に上昇させる遺伝子、あるいは上昇した血糖値を下げるのを押さえる遺伝子なのかもしれません。
ところが残念なことに、ヒトの生活習慣は兄弟であっても成人となると全く違うように、個々人間でも遺伝的にも、環境的にもその差はとても大きいのです。従って、遺伝因子が糖尿病発症に必須であるとはいっても、同じような糖尿病遺伝子を持っていても片方は発症、片方は発症しない場合も多いので、遺伝解析はすこぶる難しくなってしまうのです。そこで、ヒトと同じように中程度の肥満に伴い2型糖尿病を発症するヒト2型糖尿病モデル動物がいると、それは2型糖尿病の原因遺伝子を特定する上でとても助かるのです。なぜならモデル動物であれば、環境条件をかなり一定に保てるからです。 ここでこれから述べるのはヒトと同じように、内臓脂肪蓄積のため、2型糖尿病を発症するOLETFという名前の付いたラットについて、なぜ肥満が2型糖尿病の発症にそれほどまでに強い影響を与えるかを、特に肥満と遺伝因子との関連から考察したものです。そして、そのラットの遺伝因子が何とヒト糖尿病の遺伝因子と同じ可能性の高いことも分かってきましたのでそれもご紹介しましょう。そしてなぜ肥満が大量の糖尿病患者を生んでいるかの結論も最後にお話ししましょう。それこそが、肥満に伴う原因遺伝子そのものにつながるからです。
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