人獣共通感染症連続講座(山内一也)(第112回) 2001.2.5
米国でBSE牛が見つかった場合の緊急対策シナリオ
フランスに始まったBSE騒動はヨーロッパからアジア地域に広がり、FAO
は地球規模での脅威になると警告しています。これに関連してウオール
ストリートジャーナル(1月29日)に、米国でもしもBSE牛が見つかった場
合、どのような緊急対策がとられるかという記事が掲載されました。それ
によれば、米国政府は米国でのBSE発生の可能性はきわめて乏しいと表
明していますが、それでも仮に発生した場合の詳細な緊急計画を作成し
たということで、その要点が簡単に紹介されています。それをさらに私な
りに整理してみます。
もし、BSE感染牛が出たとすると、農夫、獣医師、または政府検査員が通
常の治療に反応しない奇妙な行動で気が付くことになるだろう。牛は運
動失調、極度に神経質または攻撃的になり、食欲はあるのに体重減少が
見いだされ、殺処分される。
組織についての検査の結果、BSEの疑いがある場合、サンプルはアイオ
ワ州エイムスにある農務省の研究所に送られ、そこで、病理検査が行わ
れる。海綿状の空胞が見つかれば、異常プリオン蛋白染色が行われ、ま
たウエスタン・ブロットによる異常プリオン蛋白の検出が行われる。
これらの結果を研究チームで検討し、BSEがまだ疑われる場合、病理学
者が英国中央獣医学研究所Central Veterinary Laboratory(ロンドン郊
外)にサンプルを持参して試験を依頼することになる。これには1−3日か
かる。
一方、農務省は動植物健康監視局内に対策室を設置する。問題の牛が
見いだされた州では牛の家系を追跡し、残りの牛を隔離する。
英国での検査で最終結論が得られた段階で、はじめて一般に公表され
る。これは、農務省がサンプルを採取してから22日後になるだろう。同
時に、地域の動物検査員、ほかの州の機関、外国大使館、企業、消費
者代表などを集めた会議が開催される。また、パリにある国際獣疫事務
局OIEに報告される。
食品医薬品局FDAは動物の飼料の由来を追跡して、ほかの動物に与え
られていないかを調べる。FDAはBSEのために特別の計画を立ててはお
らず、ほかの食品汚染の場合にしたがった手順をとることになる。もしもB
SE牛が食品ルートに入っていることが判明した場合には、食肉と、副産
物(組織、脂肪など)のルートを調べる。また、プレスレリーズ、実態報告
などをメディアに対して行う。
このシナリオの一部分はバーモント州でスクレイピーに感染したヒツジが
見いだされた時に、感染したヒツジの2つの群全体を殺処分するかどうか
議論した際に実施されたとのことです。
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