人獣共通感染症連続講座(山内一也)(第117回 ) 2001.5.31
BSE(狂牛病) 清浄化のための国際的枠組み
BSEを中心とした伝達性海綿状脳症の予防、制圧、根絶に関する国
際的枠組み作りが進んでいます。欧州連合(EU)は2001年5月初め
にRules for the Prevention and Control of Certain Transmissible
Spongiform Ecnephalopathiesを正式に承認し、2001年7月1日実施
する方向で動きはじめています。
一方、OIE(国際獣疫事務局)は、家畜の輸出入の際の健康証明の
基礎となるInternational Animal Health Code(国際動物健康綱領)の
2001年版の中に新たにBSEの章を設けました。OIEは、家畜伝染病
の国際的監視機関として157カ国が加盟している組織で、世界貿易
機関の家畜伝染病についての諮問機関の役割も受け持っています。
これには世界157カ国が加盟しておりますので、国際動物健康綱領が
国際的判断基準になります。EUの規制はメンバー国と第3国を対象と
したものです。
この2つの組織で作成した基準の内容は、こまかな点で相違はあり
ますが、基本的には同じものです。とくに注目される点は、BSE清浄化
を目指して、世界各国(または地域)のBSE状態を分類する原則を作
ったことです。
BSEの状態は5つのカテゴリーに分類されています。そのうち、清浄
国、暫定的清浄国を中心に要点をご紹介します。
(1)BSEの状態:判定の基礎
1.1 BSE 発生にかかわる危険要因と歴史的観点からのリスク評価
反芻動物由来肉骨粉などを牛の餌として使用
汚染の可能性のある肉骨粉、脂かすの輸入
伝達性海綿状脳症感染の可能性のある動物、胚、卵の輸入
動物の伝達性海綿状脳症の国内での疫学的状態
家畜の集団構造に関する知識
ほか
1.2 獣医師、農民、牛の輸送、販売、屠畜にかかわる人に対する教
育プログラムの実施状況
1.3 伝達性海綿状脳症が疑われる症例の強制的届け出・報告体制
1.4 BSEサーベイランスと監視システム
1.5 サーベイランス・システムの枠内で集められた脳組織などの病理
検査体制
(2)カテゴリー分類
(カテゴリーという表現はEUのみが用いています。)
「カテゴリー1」BSE清浄国
以下の2つの条件
1)1.1が適切に実施されていること。
または
2)
a) BSE発生がない場合
(i) 1.2ないし1.5が少なくとも7年間遵守されていること。または、
(ii) 1.3が少なくも7年間遵守され、肉骨粉、獣脂が反芻動物に8年
間餌として与えられていないこと。
b) BSE発生が輸入例の場合:省略
c) 自国産ウシでのBSE発生の最後が7年以上前で、1.2 - 1.5が
遵守され、肉骨粉、獣脂が餌としての禁止が少なくとも8年間行わ
れていること。
「カテゴリー2」BSE暫定的清浄国(自国産ウシのBSE発生がない場
合)
この場合の条件についてはOIEとEUの間で表現がかなり違っていま
す。EU案の方が単純な表現です。以下はOIEの案です。
1)1.1のリスク評価が行われ、適切な対策が取られていて、かつ
2)
a) BSE発生がない場合
(i)1.2 - 1.5が遵守されているが、7年には達していない場合、または
(ii) 肉骨粉、獣脂が少なくとも8年間餌として用いられていないが、
1.3の遵守が7年に達していない場合。
b) すべてのBSE例が輸入によることが証明された場合(一部省略)、
完全に殺処分され、かつ
(i)1.2 - 1.5が守られていて、肉骨粉、獣脂の餌としての使用禁止が
効果的に実施されている場合。または
(ii)肉骨粉、獣脂の餌としての使用禁止が少なくとも8年間実施され
ているが、1.3の遵守が7年に達していない場合。
c) 最後の自国産の発生が7年以上前の場合(省略)
「カテゴリー3」少なくとも1例の自国産ウシでのBSEがある場合のB
SE暫定的フリーの国
「カテゴリー4」BSE低発生国
「カテゴリー5」BSE高発生国
(3)動物由来の製品を市場に出す場合(EU)
健康な反芻動物由来の以下のものは規制の対象に含まれない。
生乳、乳製品原料としての乳、加熱処理飲用乳、第2燐酸カルシ
ウム(蛋白や脂肪の痕跡のないもの)、皮、ゼラチン、コラーゲン
(4)OIE:以下の物品については、輸出国のBSE状態にかかわりなく、
輸入規制を行うことはできない。
乳および乳製品、精液、蛋白を含まない獣脂(不溶性不純物重量が
最大0.15%)およびそれ由来の製品、第2燐酸カルシウム(蛋白、脂
肪の痕跡のないもの)、皮、皮からのみ調製されたゼラチンとコラー
ゲン
(5)OIE:食品、餌、化粧品、医薬品、医療材料として骨から調製し
たゼラチンとコラーゲン
国際獣医証明書で以下を証明すること。
1. 骨がBSE清浄国または暫定的清浄国由来
2. BSE低発生国由来で
a) 頭蓋と脊椎(尾骨を除く)が除外されていること。または
b) 骨が以下の処理を受けていること。
i) 加圧洗浄(脱脂)
ii) 酸による脱塩
iii) 長時間のアルカリ処理
iv) 濾過
v) 138C以上で最低4秒間の滅菌
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