人獣共通感染症連続講座(山内一也)(第142回 追加分) 2003.3.17

バイオテロ防衛(バイオディフェンス): 追加分

 科学論文の内容がテロリストに悪用されるのを防ぐために、著者、編集者、 論文審査員に自主的責任が求められるようになってきた動向を第142回の 講座でご紹介しました。研究成果の公開性とテロ防止のための非公開性と いうジレンマを科学者は抱えることになりました。英国の科学雑誌ニューサ イエンティストの2月23日号は、科学が新しい自主検閲の時代に入り、最近、 全米微生物協会の雑誌に投稿された2編の論文が内容の修正を要求された とのニュースを伝えています。その論文のひとつは、毒素の致死性を高める ヒントを含んでいたものとのことです。  米国の科学記事にはバイオテロリズム、バイオディフェンス、バイオセキュ リティーの3つのキイワードがしばしば見られるようになりました。2001年9 月11日の同時多発テロを受けて、1カ月あまり後の10月26日には急遽、 総括的なテロ対策法が米国議会で成立しましたが、その名前は愛国者法 (PATRIOT Act)です。これはProviding Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism(テロリズムを迎え撃ち阻止するのに求 められる適切な手段を提供する)の語呂合わせですが、科学の世界にもこ の法律の影響が出始めているとみなせます。
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